急に安堵感、疲労感、空腹感が竜さんを襲い、竜さんは床に大の字になって寝転がりました。 そして、先程遭遇したバケモノの事を考えていました。
「やっぱり、あれは森の神さんだったんじゃろか」
そう思うと体の震えが止まらなくなり、竜さんは気付けに森小屋に保存してある焼酎を飲み始めました。 保存食用のマーモットの燻製もありましたが、
あまり喉を通りませんでした。ルガモンクに分けてやると、喜んで食いつきます。
「今日は眠れねぇな」。そう思った竜さんは、ロンギヌスを脇に置き、寝ずの番をする事を決心しました。
「ガリガリ ガリガリ」
何かを引っ掻くような音で、竜さんは目が覚めました。 疲労感や酒も入っていたので、いつの間にか寝てしまっていた様です。時計を見ると、午前1時過ぎでした。
「ガリガリ ガリガリ」
その音は、小屋の屋根から聞こえてきます。ルガモンクも目が覚めた様で、 低く唸り声をあげています。 竜さんも無意識の内にロンギヌスを手にとっていました。 「まさか、あいつが来たんじゃなかろうか・・・」
ですが、小屋の外に出て確かめる勇気も無く、ロンギヌスを握りしめて、ただ小屋の天井を見つめていました
やがて「ボソボソ」と人間の呟く声の様な音が聞こえてきたのです。 「・・・ーい・・・・っ・・・ー」
竜さんは恐怖に震えながらも耳を澄まして聞いていると、急にルガモンクが凄い勢いで吠え始めました。 そして、何かが小屋の屋根の上を走る様な音が聞こえ、何か重い物が地面に落ちる音がしました。 ルガモンクは、今度は小屋の入り口に向かって吠え続けています。
「ガリガリ ガリガリ」
さっき屋根の上にいた何かが、小屋の入り口の扉を引っ掻いている様です。 ルガモンクは金剛の構えをし、後退しながらも果敢に吠え続けています。
「だっ、誰だ!!」
思わず竜さんは叫びました。ロンギヌスを扉に向かって構えます。 すると、引っ掻く様な音は止み、今度はその扉のすぐ向こう側から、ハッキリの人間の子供の様な声が聞こえてきました。
「きゃー やーい」
あいつだ。竜さんは恐怖に震えました。ガチガチ鳴る奥歯を噛み締め、
「何の用だ!!」
と叫びました。ルガモンクはまだ吠え続けています。
「きゃー やーい」
「それ」はハッキリと、人間の言葉でそう言ったのです。
竜さんは、堪らずに扉に向かって、ピアシングタロンを1発なげました。
才能あるわ
続けて
と奇妙な叫び声が扉の向こうから聞こえ、竜さんは続けざまに2発、3発
と投げました。槍に空けられた扉の穴から、真っ赤に血走った目が見えました。
「きゃーいやーい」
人間の幼児そっくりの声で、「それ」は言いました。
「帰れ!!」
竜さんは続けざまに槍を投げようとしましたが、体が動きません。
「きゃーいやーい」
「それ」は壊れたテープレコーダーの様にただそれだけをくり返します。
「し、知らん!!あっちにいってくれ!!」
「きゃーいやーい」
再びガリガリと扉を引っ掻きながら、「それ」は扉の穴から怒り狂った
赤い目で竜さんを見ながらくり返し言います。ルガモンクも吠えるのを止めて縮こまっています。
「俺じゃない!!お前の強化素材なんて知らねぇ!!あっちにいけ!!」
竜さんは固まったままの体で絶叫しました。すると「それ」は、
「ジュピーーー!!!」と叫び、扉を破って中に入ってきたのです。
扉を破って現れた、幼児の顔。怒りを剥き出しにした血走った目。自分の顔に受けた焼けるような痛み。 「それ」に飛びかかるルガモンク。無我夢中でジャンプをする自分。
竜さんが気がついた時は、グリダ二アの病院のベッドの上でした。
3日間昏睡状態だったそうです。 竜さんの怪我は左頬に獣に引き裂かれた様な裂傷、右足の骨折、体のあちこちに見られる擦り傷などの、 かなりの重傷でした。
竜さんは、「Sランクモブに襲われた」とだけ言いました。 しかし、何となく竜さんに何が起こったかを感づいた様で、次第に竜さんは村八分の様な扱いをうけていったのです。
ちなみに、相棒のルガモンクですが、まるで竜さんを守るかの様に、竜さんの上に覆い被さって死んでいたそうです。 肉や骨などはほぼ完璧な状態で残っていたそうですが、何故か新式装備だけが1つも残らず綺麗に無くなっていたそうです。
「しっぽ」っていう怖い話が元ネタです
引用元:http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/ogame/1423092974/
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